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アンティークログの温もりを纏った鉄骨造「トライオン・インターナショナル」in ミルスプリング ノースカロライナ州

2025年06月26日 - 事例紹介

米国ノースカロライナ州ポーク郡ミルスプリングに建造されたリゾート複合型馬術競技施設「トライオン・インターナショナル」のウェルカム・センターを手掛けました。

Welcome Center at Tryon International – Mill Spring, NC

ノースカロライナ州ミルスプリング(Mill Spring)は、ブルーリッジ山脈の美しい麓に広がる自然豊かな小さな町で、ゆったりとした田園風景と心温まる地域文化が魅力の観光地です。

この地域は、四季折々の風景が楽しめることで知られており、春には新緑が山々を彩り、夏には爽やかな風が心地よく、秋には紅葉が一面を黄金色に染め、冬には静かな雪景色が広がるなど、一年を通じて異なる自然の表情を満喫することができます。

特に、世界的な馬術競技施設であるトライオン・インターナショナル・エクエストリアン・センター(TIEC)が所在することで知られ、馬術ファンやスポーツ観戦を楽しむ観光客にとっては必見のスポットとなっています。TIECでは、国際的な大会だけでなく、地元の人々が集うイベントやマーケット、グルメフェスティバルなども頻繁に開催され、誰もが楽しめる魅力的な空間となっています。

トライオン・インターナショナル(Tryon International)とは

トライオン・インターナショナル・エクエストリアン・センター(Tryon International Equestrian Center、以下TIEC)は、ミルスプリングの最東端に位置する、世界有数の馬術競技およびリゾート複合施設です。2014年に開業し、約650ヘクタールの広大な敷地には、850の常設馬房、10以上の競技アリーナ、6,000席のスタジアム、宿泊施設、レストラン、ショッピングエリアなどが整備されています。TIECは、馬術愛好家だけでなく、家族連れや観光客にも開かれた施設であり、年間を通じて多様なイベントが開催されています。

広大な敷地に多目的な機能を備えた「トライオン・インターナショナル・エクエストリアン・センター」の正面玄関にあたる2階建ての「ウェルカム・センター」は、訪れるすべての人々を迎え入れる施設の“顔”とも言える重要な存在です。そのため、施設全体のイメージを印象づけるにふさわしい外観と空間演出が求められました。

施主からは、「ティンバーフレーム(木組み)構造のような、温もりを感じる木造の意匠で建てたい」というご要望をいただいておりました。しかしながら、実際の設計においては、建物自体が非常に大規模であり、広い空間を支えるためには高い構造強度が必要でした。屋根や上階の床を支える梁や柱、さらには多くの来訪者を受け入れるための安全性や耐久性を考慮すると、鉄骨構造を採用することが最も合理的かつ現実的な選択となりました。

そこで私たちは、無機質で冷たい印象を与えがちな鉄骨建築に、「アンティーク表面仕上げ」を施した特注の木材パネルを使用し、鉄骨の柱や梁を包み込むように美しく装飾。これにより、構造的には鉄骨でありながら、見た目にはまるで伝統的な木骨造のように見える、独特の温かみと重厚感を持った空間演出を実現しました。

こうしたデザインアプローチの結果、無機質で工業的な印象を抱かせる近代的な倉庫や工場のような空間ではなく、木のぬくもりと自然素材ならではの柔らかさに包まれた、どこか安心感のある心地よい空間が生まれました。これはまさに、構造の強さと意匠の美しさを両立させるハースストーンのデザイン哲学の結晶であり、訪れる人々に「ようこそ」という気持ちを建物全体で表現する、特別な空間づくりのひとつと言えるでしょう。

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By | 2025年06月26日

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