米国に今も残存する200年以上前のオールドログハウス10選の残り5つのログハウスを紹介していきます。
10 Oldest Historic Log Cabins in the US – Ep2

「現存するアメリカ最古のログハウス10選【前編】」では、1638年から1778年に建てられた、築245年以上の歴史を持つ古いログハウスを紹介しました。【後編】では、当時としては珍しいチンキングのない角ログハウスや、1.5階建てのログハウスなど、さらに興味深い建物をご紹介していきます。
#6 ハイド・ログキャビン(Hyde Log Cabin)- 1783年

「ハイド・ログキャビン」は、バーモント州グランドアイルの国道2号線沿いにある歴史的なログハウスです。1783年に建てられ、ハイド家が150年間住んでいました。
こちらのログハウスは、直径約36センチから46センチの皮を剥いだ杉の丸太で作られた平屋です。延床面積は約46.4㎡(約6.1 x 7.6m)で、建物は切妻屋根で覆われています。内部は1つの部屋と、その上部にロフトスペースがあるシンプルな構成となっており、石造りの暖炉が2つありました。建物を保全する目的で、元の場所から約3.2キロ離れたグランド・アイル小学校の隣に移動させた後、壊れていた暖炉の1つを撤去し、もう一つの暖炉を再建しました。
#7 リホボス教会(Rehoboth Church)- 1786年

リホボス教会は、ウェストバージニア州モンロー郡の田園地帯に位置する歴史のある丸太を使ったログハウスで、メソジスト教会として1786年に建てられた後、アメリカ初のメソジスト司教フランシス・アズベリーによって献堂された。
ウェストバージニア州で現存する最古の教会建築として知られています。
#8 ミラー・ルーサー・ログハウス(Miller–Leuser Log House)- 1796年

「ミラー・ルーサー・ログハウス」は、オハイオ州ハミルトン郡シンシナティ市近郊にある、1796年以前に建てられたログハウスとなります。
このログハウスが元々あった土地の最初の所有者は、独立戦争での功績により1793年6月9日に600エーカー(東京ドーム約53個分)の土地を与えられたバージニア州の将校、マシュー・ジュイット大尉でした。しかし、その後すぐにジュイット大尉は亡くなり、彼の息子がナサニエル・マッシー氏にその土地を処分するよう依頼しました。1796年4月2日付の譲渡を記録する証書によると、マッシー氏が440エーカーの土地をイカボッド・ベントン・ミラー氏に220ドルで売却したと記載されています。又、証書には、ミラー氏が「この証書を封蝋して配達される時、またはその前に所有権を取得できる」と記されており、この引用文は通常、土地に建物がある時に用いられる為、ログハウスが既に建てられていたこと示唆しています。
#9 モララ・ログハウス(Molalla Log House)- 1790年代

「モララ・ログハウス」は、太平洋岸北西部で現存する最古の建物かもしれないと言われているログハウスで、ロシア皇帝のエカチェリーナ2世によってオレゴン州のウィラメットバレーに派遣されたロシア人入植者が建てたものだと推測されています。その真実は分かっておりませんが、ログ壁にチンキング(ログ同士の間にギャップを設ける構法)が無いものは、当時のオレゴン州では非常に珍しい角ログハウス構法で造られています。
#10 ジョエル・エディンズ・ハウス(Kellerman Log Cabin)- 1810年

「ジョエル・エディンズ・ハウス」は、アラバマ州ハンツビルにある野外博物館「バリット・オン・ザ・マウンテン(Burritt on the Mountain)」の敷地内にあるログハウスで、アラバマ州で最も古い記録のある建物です。この家は、サウスカロライナ州アビビル郡からの入植者であるジョエル・エディンズ氏によって、1810年に現在のアラバマ州ライムストーン郡アードモア近郊に建てられました。2007年に元の場所から野外博物館に移されました。
この1.5階建てのログハウスは、アラバマ州では珍しい「ホール&パーラー様式(Hall and Parlor House)」で、広い居間(ホール)と応接室(パーラー)の2つの主要な部屋からなるシンプルなレイアウトになっています。1930年代に東側の一部を囲むように建物後部に寝室、バスルーム、キッチンが増築されましたが、野外博物館に移された際にはその部分は移築されませんでした。メインの入口は広い居間に通じており、西側の壁には暖炉と東側には応接室に続くドアがあります。応接室には暖炉とかね折れ階段が上階へと繋がっています。上の階の部屋は下の階の部屋と同じ大きさとなっています。
いかがでしたでしょうか?「現存するアメリカ最古のログハウス10選」をご紹介いたしましたが、これらの歴史的価値のある建物の多くは、内覧が可能です。お近くを訪れる際には、ぜひ実際に足を運んでみて下さい。