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2025年の建築基準法改正によるログハウスへの影響【後編】

2025年02月6日 - 一般

2025年4月に施行される建築基準法改正の「4号特例の縮小」がログハウスに及ぼす影響について述べていきます。

Impacts of the 2025 Building Standards Act Revision on Log Cabins – Ep2

▶「4号特例の縮小

従来、一般的な2階建て以下の木造住宅(「2階建て以下」かつ「延べ面積500㎡以下」かつ「高さ13mもしくは軒高9m以下」)は、「4号建築物」に区分されており、確認申請時に構造に関する一部の審査が省略される「4号特例」が適用されていました。

4号特例が導入されたのは1983年のことで、当時の日本は高度経済成長期にあり、経済の発展に伴い住宅の着工件数が急増していました。その結果、建築確認や審査を担う人員が不足し、対応が追いつかない状況が生じました。この問題を緩和する目的で、建築確認の簡素化や合理化を図り、「建築士が設計を行う場合」という条件の下、4号特例が制定・適用されてきました。

建築物の審査項目にはさまざまな規定がありますが、4号建築物については一部の項目が審査対象から除外されます。以下は、審査対象外になる項目の例となります。

  • 建築設備の構造強度
  • 居室の採光
  • 換気設備の技術基準
  • 地階における住宅等の居室
  • 電気設備
  • 廊下
  • 天井、床高、除湿、遮音など

しかし、建築確認申請において一部の項目の審査が免除されていると、省エネ基準への適合状況が確認できない問題があります。さらに、断熱材の使用や省エネ設備の導入により一般住宅の重量が増加し、それに伴い地震や台風などの自然災害時に倒壊するリスクが高まる懸念もあります。この状況を踏まえ、2025年4月の建築基準法改正により、4号特例の適用範囲が縮小(4号建築物の廃止)されることになりました。

新2号建物(2025年4月1日以降)

「2階建て以上」、または「延床面積200㎡超」の木造建築物等は、全ての地域で工事着手前の建築確認と工事完了後の検査が必要となります。

具体的には、延床面積200㎡以下の平屋建て(改正後は新3号建物に区分)以外の多くの木造住宅が「新2号建築物」に区分され、構造の審査(検査機関に計算書を提出してチェックを受ける)が必要となります。しかし、新たに構造計算が増えるというものではありません。検査機関への「書類の提出不要 = 構造計算いらず」では元よりありませんので、これまでも法令や規定を遵守していれば、改正後もさほど変わりはありません。

ログハウスへの影響ログハウスは一般的な木造建築物とは異なる特性を持つため、「国土交通省告示第411号」に基づき、「4号特例の縮小」の影響を受けない可能性が高いとされています。しかし、仮にログハウスが「新2号建築物」に区分された場合には、構造計算の提出が求められる場合があります。

木造建築の構造計算にはいくつかの種類があり、難易度の低い「壁量計算」から、「性能表示計算」、さらに難易度の高い「許容応力度計算」が存在します。ログハウスが「新2号建築物」に区分された場合、2階建て以上や延床面積が200㎡を超える場合には「壁量計算(ダボ計算書)」の提出が、延床面積が300㎡以上の場合には引き続き「許容応力度計算」の提出が義務付けられることになります。

ダブテイルログハウスへの影響ダブテイルログハウスは、もとより「許容応力度計算」が必要な建物となっており、専門の構造設計事務所によって計算が行われた後、検査機関にその計算書を提出しているため、「4号特例の縮小」による影響はありません。

2025年の建築基準法改正のまとめ

2025年4月1日施行の建築基準法改正は、これまでより高い「省エネ基準への適合」と、省エネ化に伴う建築物の重量増加に対応した「適切な強度を備えた住宅設計」に関して、検査機関による確認を重視する内容となっています。

この改正は、丸太組構法を用いたログハウス(ダブテイルログハウスを除く)においても設計や建材選定、構造計算の提出、施工に至るまで多方面に影響を及ぼす可能性があり、納期の遅延やコスト増加といった課題が発生し、最終的に施主の負担が増大することが懸念されます。そのため、最新情報を正確に把握し、専門家と連携して計画を進めることが不可欠です。

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By | 2025年02月6日

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