チンキングとコーキングは、どちらも隙間を埋める建築技法ですが、用途や素材、仕上がりに違いがあります。ログハウスでは特に重要な建築資材の1つとなります。
The Differences between Chinking and Caulking

チンキングは主にログハウスの水平方向のログとログの間に生じる比較的大きな隙間を埋めるために使われる技法で、外気や雨水、虫の侵入を防ぐとともに、伝統的な外観を演出する役割も果たします。柔軟性が高く、木材の伸縮やセトリングの動きに追従できる素材が使用されるため、耐久性にも優れています。見た目にもアクセントとなるため、意匠の一部として重視されることもあります。
一方、コーキングは窓枠や外壁の継ぎ目、建材の接合部など、より細かい隙間を対象とした技法で、防水性や気密性を高めるために用いられます。目立たないように仕上げることが多く、素材も用途に応じてさまざまです。
ログハウスの施工では、この2つの技法を適材適所で使い分けることが、快適で長持ちする住まいづくりの鍵となります。
チンキング(Chinking)とは?
チンキングとは、ログハウス、特に丸太を用いた構造において、水平方向に積み上げられたログ材同士の間に生じる隙間を充填する作業、あるいはそのための専用材料を指します。伝統的なログハウス建築では、ログの間にある程度の隙間が生じることを前提としており、外気や雨水、虫の侵入を防ぐために、チンキングは欠かせない要素となっています。

その中でもダブテイル構法においては、チンキングは極めて重要な役割を果たす建材のひとつです。というのも、ダブテイルログでは、ログ壁を構成するログ同士の間に10〜15cm程度の広めのギャップを設けて積み上げるのが特徴であり、その空間に断熱材をはめ込んでさらに断熱性能を高めます。したがって、このような広い隙間をしっかりと封じるため、チンキング材の性能は非常に重要となります。
チンキングの主な特徴:
▼ 幅広い隙間にも対応できる
ログの間の隙間は建物の動きによって数十センチになることもあるため、チンキング材は柔軟で伸縮性があり、大きなギャップにも使用可能。
▼ 視覚的にもデザインの一部
白やグレーなどの色味で仕上げられることが多く、ログ材とのコントラストがクラシックなログハウスらしさを際立たせます。
▼ 伝統的な構法との親和性
アメリカなどの伝統的な角ログハウス文化においては、広い幅のチンキングの存在は建築美の一部とされます。
チンキングの材料:
現代では、アクリル系またはシリコン改質材をベースにした柔軟性・耐久性・可とう性の高いチンキング材が使用されます。200年程前の角ログハウスには、泥、藁、苔などが使われていました。
コーキング(Caulking)とは?
コーキングは、建築物のあらゆる接合部や隙間をシール材で埋め、気密性や防水性を高めるための作業およびその材料のことです。ログハウスだけでなく、一般住宅や商業施設など、建築全般で用いられています。

コーキングの主な特徴:
▼ 細かい隙間に対応
窓枠や建材同士の接合部など、ミリ単位の小さなすき間が対象となります。
▼ 外観には目立たない処理が多い
色も建材に合わせて調整し、あくまで仕上げの一部として見せないケースが多いです。
▼ 耐水・防風・断熱対策
雨水や風の侵入、湿気の流入を防ぐ機能性が重視されます。
コーキングの材料:
主にシリコン系、ポリウレタン系、アクリル系などのシーラントが使われます。用途により、耐久性、耐熱性、可とう性などを選定します。
まとめ
このように、「チンキング」と「コーキング」はいずれも隙間を埋めるための建築技法ではありますが、その用途や目的、使用される場所、仕上がりの意匠性において明確な違いがあります。特にログハウスにおいては、両者を適切に使い分けることで、快適性・耐久性・美しさを兼ね備えた住まいを実現することが可能となります。それぞれの特性を理解し、建築に活かすことが大切です。